「あ、ちょっとブルースー!」
「ブルースブルースー!」
「ブルースー」
「三人揃って、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないのよ!」
「言い回しが古いなあ」
「うるせっ。じゃなくて、もう年末だって!」
「あーそうなんだ。もう年の瀬かあ」
「前はすっかり忘れて新年迎えちゃってたもんね」
「みたいだなー」
「だから今年はちゃんと年末に準備するのよ! もう今てんてこ舞いなんだから!」
「言い回しが古いなあ」
「ん、ん……。とにかく今私達は色々と準備してるから!」
「準備って?」
「大掃除とか、鏡餅や注連飾りの準備とか!」
「いやいや、え、何? 餅ついたり、縄結ったりするの?」
「大体支給品にあったんだけどね」
「何だ、忙しくないじゃない」
「それでも忙しいのよ! で、ブルース、お願いなんだけど門松作ってくれない?」
「……ん? え? 門松作るの? 僕が?」
「支給品に門松がないか探したんだけど、竹丸々一本しかなくて」
「何で竹丸々一本が支給されてるんだ」
「で、ミドリに頼もうと思ったんだけど、ミドリも忙しいから! お願い! 門松作ってきて!」
「お願い!」
「お願い!」
「うーん、わかったよ。竹を斜めに切ればいいんだよね。道具はあるの?」
「ありがとう! はいこれが竹と、のこぎり!」
「俺も作業終わったら行くからな!」
「正月の雑煮サービスするね!」
「え、嬉しいなあ。じゃあちょっと頑張ってくるね」
「……。……雑煮のサービスはなし!」
「えー何で!」
外。
「竹とは言え、切るのは結構大変なんだよね。普段しないし」
「でも、年末の準備に精を出してくれるのはちょっと嬉しいかな。ブロントやジルバは絶対しないだろうし」
「あ、ブルースさんいいところに!」
「ルファさん。どうしたんですか?」
「ミドリ知りませんか?」
「あーミドリなら今色々と作業してるらしいですよ」
「それは残念。近くに美味しいバームクーヘン屋さんがあったときに備えて一緒に行動しようと思ったのですが」
「絶対ないので安心してください」
「で、ブルースさんは何してるんですか? ノコギリクワガタなんて持って」
「ノコギリクワガタは持ってないです。門松作ってるんですよ」
「門松?」
「新年に玄関先に置く飾りですね。ミドリ達も今、新年の作業で忙しくて」
「門松って、これ竹じゃないですか」
「……確かに。確かにそうですね。何で門松なのに竹なんだろう」
「気になった方は『ミドリ 画像』で検索検索!」
「その検索ワード何ですか」
「しまった! これは私が毎日検索しているワードだった!」
「気持ち悪いです」
「このことはミドリにはシースルーでお願いします!」
「シーかスルーにしてください」
「どうかご内密にご内密に!」
「そうだなあ。じゃあ、この門松作りを手伝ってくれたら内緒にしますよ」
「いや私ペンより重い物持ったことないので」
「魔法書はペンより重いでしょう」
「ペンはペンでもショーン・ペンなんですけどね」
「ちょっと意味がわからない。でももしそうだとしてもショーン・ペンよりも、のこぎりの方が軽いですよ」
「でも『アイ・アム・サム』の頃のショーン・ペンだからなあ」
「意味がわからない」
「とにかく私はそのような脅しにはのりません! しかし検索ワードのことについてはご内密に!」
「そういえば後でミドリも門松作りを手伝ってくれるとか」
「さぁー門松作りますよ! 百個でも二百個でもおったててやりますよ!」
「やりやすい」
「ブルースさんの口封じとミドリへのアピールになるだなんて素晴らしい門松作りだ!」
「口封じって」
「これこそ二石一鳥ですね!」
「一投外してますよ」
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