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あむあむあむ

●「テンミリオン道中」

15 【雪原→魔王の城】

ma.png「トランプと言えばあれね、スピードでは私の右に出る者はいないわよ」
te.png「スピード! 懐かしいです!」
mi.png「すぴーど?」
ma.png「あまりに速くて周りから“ギアドライブ”と呼ばれ恐れられていたわ」
mi.png「ギアドライブ! かっけぇな!」
br.png「つまりオートマだよ?」
te.png「わ、私だってババ抜きでは負け知らずでした! 最後の一騎討ちで負けたことはありません!」
mi.png「すげぇな!」
te.png「あまりに強くて周りから“モダニズムの聖人”と恐れられていました!」
ma.png「それは別件でしょ」
te.png「はななっ」
br.png「懐かしいね、それ」
te.png「えとえと、そうだ、ミドリはトランプでは何が得意なんですか?」
mi.png「あ、いや、俺はトランプしたことないんだ」
te.png「あっ……ごめんなさい」
ma.png「謝ることないわよ」
mi.png「そうそう、謝ることねぇよ。その代わり、一人で出来ることなら何でも出来るぞ」
ma.png「おー、例えば?」
mi.png「料理に手芸に絵だろ? 後、スケートにスキーにすごろくに」
te.png「すごいです!」
br.png「ちょっと待って。すごろく?」
mi.png「ああ、すごろく」
ma.png「一人でするの?」
mi.png「ああ、すごろくだからな。あれは根気が試されるゲームだ」
ma.png「はい?」
mi.png「最後辺りの終われるか終われないか! っていう所が痺れるんだよな。で、上がった時の達成感! これが堪らないよな! 試練に打ち勝ったみたいで!」
te.png「は、はあ」
mi.png「一番嫌なマスが“一回休み”だよな。あそこに止まると、また明日に持ち越しかーってがくってくるんだよな。二回休みなんて中一日だからな、英気を養うにはある意味良いんだが」
br.png「僕の知ってるすごろくではない……」
te.png「あ、あはは……」
ma.png「……」
br.png「マゼンダ?」
ma.png「ミドリ、サイコロ持ってる?」
mi.png「ああ、持ってるぞ。暇な期間にすごろくでもしようかなと」
br.png「期間て」
ma.png「今から皆ですごろくするわよ」
mi.png「え、みんな!?」
br.png「ちょ、ちょっと待ってよ。もう魔王の城目前だよ!? そんなことしてる暇は」
ma.png「だまらっしゃい! 今からこいつにすごろくの楽しさを叩きこむんじゃあ!」
mi.png「え……俺?」
ru.png「あ、すごろくするんですか? 私も入れてくださいなっ」
ma.png「五人は多い!」
ru.png「ひゃひ!」

 サイコロ準備。

mi.png「サイコロだけで良いのか? すごろくボードもあるぞ? “ミドリちゃんの鉄人すごろく”っていう」
ma.png「そんなものは必要ない。必要なのは、スタートとゴールと、その間の六マスだけ」
mi.png「そ、そんなもの……」
te.png「その六マスの中に進むとか戻るとか入れるんですか?」
ma.png「ミドリにすごろくの楽しさを叩き込むのに、無駄なマスもギミックも必要ないわぁ!」
te.png「ご、ごめんなさい」
br.png「どうしたのこの人」
mi.png「俺の鉄すごが否定された……」

 準備完了。

ma.png「はい、じゃあブルース→テミ→私→ミドリの順番ね」
mi.png「こんなに大勢ですごろくして楽しいのか……?」
te.png「あ、これって丁度じゃなくても上がれるんですか?」
ma.png「丁度じゃないと上がれないに決まってるだろうがぁ! お前の目は節穴かぁ!?」
te.png「ごっ、ごめんなさい!」
br.png「じゃあ振るよ。四だ」
te.png「あ、じゃ、じゃあ私。えい。五です」
ma.png「はい。六ね」
mi.png「お前等良い目が出るな」
br.png「いや、全然関係ないよこれ」
mi.png「よし、六出ろ六出ろとりゃあ! な……三だと」
ma.png「ミドリ大変これは大きく遅れを取ってしまったぁ!」
mi.png「や、やべー!」
br.png「いや全然関係ないんですけど」
ma.png「お前は黙ってさいころ振ってれば良いんじゃあい!」
br.png「えー」
ma.png「はい、二巡目よ。ブルース振った振った」
br.png「はいはい……あ、三だ上がりだ」
ma.png「どっしゃああああい!!」
br.png「ぎゃは!」
mi.png「ど、どうしたマゼンダ!」
ma.png「ま、魔王の攻撃を受けたぁ!」
mi.png「な、何!? 大丈夫か! どこだどこだ魔王!」
ma.png「大丈夫よ。それよりすごろくの続きをしましょう」
mi.png「そ、そうだな。サイコロは何だったんだ?」
ma.png「あ、そうね! えっと…………二ね、間違いなく」
mi.png「危ねぇ! もうちょっとで上がられる所だった! 危ねぇ……」
ma.png「危なかったわね!」
te.png「……」
br.png「接待すごろく……」
ma.png「さぁテミの番よ。わかってるでしょうね」
te.png「は、はい……」
mi.png「二よ出るな! って、ついつい祈っちゃうなこれ」
te.png「私もです……えいっ! 三です!」
ma.png「あー残念ね」
mi.png「またもや危ねぇ! あーひやひやしたぜ、危ねぇ」
te.png「本当危なかったです……」
ma.png「はい次は私ね。ミドリの番の前に上がっちゃうぞー?」
mi.png「そ、それだけはやめろ! 一で上がりか! くぅー、一出るな、一出るな」
ma.png「出しちゃうぞ出しちゃうぞー?」
mi.png「くそーギアドライブめー!」
br.png「何これ」
te.png「さぁ」
ma.png「ミドリ! 振るぞ!」
mi.png「おお! 来い!」
ma.png「てやぁ!」
mi.png「うぉぉ!」
ma.png「…………六」
mi.png「セーフだぁ! よっしゃあぁ!」
ma.png「くっ! しかし、ミドリが上がれるとは限らないのよ」
mi.png「そっ、そうか……次に俺が四を出さないと、また危機三連発……それだけは避けたい!」
ma.png「ミドリが四を出さないと、もうミドリに勝ちのチャンスは無くなるわよ!」
mi.png「勝ちのチャンス……よし、よし、勝つ!」
ma.png「出してごらんなさい!」
mi.png「行くぞぉ! 出してやる! 四を出してやる! いっけぇぇぇ!」
br.png「何このテンション……あ、一だ」
ma.png「どっしゃああああああい!!!」
br.png「ぎゃはん!」
mi.png「な、な、何だ! どうした!」
ma.png「お、オーガーに攻撃を受けた!」
mi.png「何! オーガーどこだどこだ! 俺が倒してやる!」
ma.png「もう倒したから大丈夫よ」
mi.png「そ、そうなのか……。良かった」
br.png「疑えよ」
ma.png「ところでサイコロは……?」
mi.png「そ、そうだ! サイコロ、なっ、なっ、なっ!」
ma.png「ふっ、負けたわ、ミドリ」
mi.png「四だぁぁぁ!」
ma.png「四ね!」
te.png「……四ですね」
br.png「でしょうね」
mi.png「四だぁぁ! 上がりだぁぁ! 俺の勝ちだぁぁ!」
ma.png「ミドリ」
mi.png「まっ、マゼンダ!」
ma.png「すごろく、楽しいでしょ」
mi.png「あ、ああっ……楽しいぃ!」
ma.png「うん、よし」

「やったやった!」「四だ上がりだ!」「くぅぅ! 勝った勝った!」「ルファ見ろ四だぞ四!」

ma.png「ふぅ、世話の焼ける子ね」
br.png「そのやり切った顔やめてくれるかな」
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Date:2014/07/01
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